スポーツ×観光の未来を切り拓く「パデル」

イタリアから世界へ広がる新トレンド

イタリアでは今、スポーツと観光を融合させた新しいライフスタイル提案が注目されています。
なかでも目覚ましい成長を見せているのが、スポーツツーリズム(スポーツを目的とした旅行)です。その市場規模は2026年には3,000億ドル(約47兆円)に達すると見込まれており、世界中で急拡大中です。

その中核を担っているのが、今話題のラケットスポーツ「パデル」。
イタリアの大手旅行会社「Sporting Vacanze(スポルティング・ヴァカンツェ)」のジェネラルマネージャーであるアンドレア・ヴァンヌッチ氏(57歳)は次のように語ります。

「私は1989年から観光・ホテル業界で働いてきましたが、パデルとスポーツツーリズムの組み合わせは非常に相性が良いと実感しています。Sporting Vacanzeは、“旅をもっと体験型に”をコンセプトに誕生しました。今、スポーツを軸にした旅行は世界的なブームとなっています。」

ヴァンヌッチ氏によれば、サウジアラビアのような国がスポーツ観光を国のブランディングに活用するなど、世界的にこの流れは加速しているとのこと。
その背景には、パデルだけでなくマラソン、サッカー、モータースポーツ、テニスなどもあり、イタリアでは特にヤニック・シナー選手の活躍が国内外の関心を高めています。


家族も若者も。誰もが楽しめるスポーツバケーション

スポーツツーリズムの魅力は、「休みたい」と「動きたい」という相反する欲求をどちらも満たせる点にあります。
シングルやカップルはもちろん、家族連れや若者まで幅広く楽しめるのが特長です。スポーツだけでなく、文化・食・自然など地域の魅力も味わえる“アクティブな観光体験”が人々を惹きつけています。

「私たちはスポーツ新聞『Corriere dello Sport』と連携し、若者やスポーツを応援する立場から、誰でも楽しめる旅行パッケージを準備しています。」

イタリア発祥のこの取り組みは、スペインをはじめ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、カタールといったパデル人気が高まっている国々にも広がろうとしています。


モルディブに世界初のリゾートパデルコートを設置した先駆者

ヴァンヌッチ氏は、今後の方針として「中価格帯の家族層にも届く旅行プランの開発」を重視していると語ります。特にオフシーズンなどを活用し、より多くの人々がスポーツ観光を体験できる機会を増やしていく方針です。

「今後はますます多くの国や都市がパデルに投資することで、スポーツツーリズム市場全体も成長するはずです。」

実は同社は2015年、世界で初めてモルディブのリゾートにパデルコートを設置した企業でもあります。当時はまだ誰も目をつけていない段階でしたが、今では多くの高級リゾートが追随するようになりました。

「私たちがその先駆けだったのです。」


パデルが観光の未来を変える——イタリアから始まったこのムーブメントは、いまや世界を巻き込みながら進化を続けています。

※本投稿は、イタリアのスポーツ紙「Corriere dello Sport」に掲載されたインタビュー記事(Andrea Vannucci氏談)を元に構成しています。


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